自然から学び、未来を創造する:「Fungi Narratives」

アントニア・フェッダーによる持続可能なデザインの新たな可能性

自然界からインスピレーションを得て、持続可能なデザインの新たな可能性を追求するアントニア・フェッダー。彼女のプロジェクト「Fungi Narratives」は、キノコを有機的な素材として実験的に探求し、バイオプラスチックとの組み合わせから生まれる新たな関係性を探るものです。

フェッダーは自然散策からインスピレーションを得て、キノコという素材に目を向けました。彼女の研究では、Fomes Fomentarius(ツチグリ)を自然から取り出すことが、生態系にネガティブな影響を与えず、また人工的に育てる可能性があることが示されました。彼女は100以上の実験を行い、キノコとバイオプラスチックを組み合わせて研究しました。人工的なものと自然なものの二元性が、彼女の実験を推進する主な動機であり、これは持続可能な製品やファッションデザインの分野にポジティブな影響を与える可能性があります。

「Fungi Narratives」は、アマドウ(アマドウタケの一部)を用いた「レザー」アクセサリー、刺繍、アップサイクルされたファッションピース、キノコを基にした様々な紙のような素材を含むデザインを生み出しました。このプロジェクトの目的は、自然から豊富に得られる資源を使用して、デザインの未来にポジティブな持続可能な影響をもたらす可能性のある素材を作り出すことです。

このデザインは、Fomes FomentariusとFomitopsis Betulina(ヤマドリタケ)、そしてバイオプラスチックを使用して作られています。バイオプラスチックは堆肥化可能で、植物由来のグリセリン、寒天、水を使用して作られています。紙作りにはキノコと水だけを使用し、アップサイクルされたファッションには刺繍、編み物、ビーズ、フィラメントの作成などの技術が用いられました。さらに、本のエディトリアルデザイン、レタープレス、手製本、映像と写真の撮影、素材のポストプロダクションなども行われました。

このデザインは、アマドウを用いたフェイスマスク、25種類の異なる特性を持つ紙製品など、様々な形状とサイズで提供されています。最も興味深い発見は、アマドウが有機的なレザーとして使用でき、環境へのネガティブな影響を最小限に抑えることができるということでした。

このプロジェクトは、自然の資源から学び、それを通じてプロセスを導くというアプローチから始まりました。自然素材を扱うことは、多くの挑戦を伴いましたが、それが最終的に分解するという特性を理解し、バイオポリマーがキノコとどのように相互作用するかを理解することが鍵となりました。

「Fungi Narratives」は、自然からの資源を使用して、デザインの未来にポジティブな持続可能な影響をもたらす可能性のある素材を作り出すという目的を持った実験的な素材研究プロジェクトです。このプロジェクトは、2021年のA'サステイナブルプロダクト、プロジェクト、グリーンデザイン賞でアイアン賞を受賞しました。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Antonia Fedder
画像クレジット: Image #1: Photographer Antonia Fedder, Stylists Sofia Fiorentino and Marianne Hansen, 2020. Image #2: Photographer Antonia Fedder, 2020. Image #3: Photographer Antonia Fedder, Styling Sofia Fiorentino and Marianne Hansen, 2020. Image #4: Photographer Antonia Fedder,2020 Image #5: Photographer Antonia Fedder, 2020.
プロジェクトチームのメンバー: Antonia Fedder Sofia Fiorentino Marianne Hansen
プロジェクト名: Fungi Narratives
プロジェクトのクライアント: Antonia Fedder


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